勝間田 弘幸 「花ふふむ(蕾)」
¥150,000 税込
残り1点
別途送料がかかります。送料を確認する
作家名:勝間田 弘幸(Hiroyuki Katsumasa)
作品名:花ふふむ(蕾)
サイズ: 652mm×530mm F15
額: 0mm×0mm ×0mm
技法:墨、油彩
制作年:2008
勝間田弘幸による《花ふふむ(Flower Buds)》は、墨と油彩の融合によって生まれた独自の抽象絵画である。画面全体を包み込むような螺旋的構成は、まるで宇宙の生成や銀河の回転を想起させつつも、タイトルが示す「蕾(つぼみ)」という有機的モチーフを内包している。ここにあるのは、生命の萌芽と宇宙的循環のイメージが共鳴する瞬間である。
墨の濃淡によって生まれる流動的なグラデーションは、東洋絵画における「気韻生動(Qi Yun Sheng Dong)」の理念を想起させるが、勝間田はその伝統を引用するだけでなく、現代的抽象の文脈において再構築している。墨という偶然性と油彩という物質性の共存は、静と動、生成と消滅という二項の緊張を孕みながら、見る者の意識の深層に働きかける。
テーマ:生命の予兆としての「ふふむ」
「花ふふむ(蕾)」とは、開花を目前に控えた生命の緊張と期待の象徴である。
勝間田は、開く直前の「まだ形を持たぬ力」の在り処に惹かれ、その潜在的なエネルギーを墨の滲みと筆致の旋回運動に託した。画面中央に生じる淡い光の渦は、生命が誕生する刹那、あるいは精神の覚醒=「精神のビッグバン」のような象徴的瞬間を暗示している。
彼の作品において「意味を消していく」過程とは、外界の再現から離れ、純粋な感覚の発露としての絵画へ回帰する行為である。そこには、禅的な「無」や「空」の概念が静かに息づいている。
技法と素材の対話
勝間田はもともと油彩画家として活動していたが、物質的な絵具の重層性に限界を感じ、ある日偶然手にした墨に新たな可能性を見出した。墨の滲みや乾きが生み出す偶然の造形は、意識的な描写を超えた領域——無意識と自然の協働——を提示する。
本作では、中国墨の流動性と油彩の定着性が絶妙に混ざり合い、画面に「呼吸」を与えている。
アート史的文脈
勝間田のアプローチは、1950年代以降の「もの派」や「アンフォルメル」、あるいはアメリカ抽象表現主義の中でポロックが示した身体的な筆致とは異なり、「身体の軌跡」ではなく「素材そのものの変化」に主眼を置いている点に特徴がある。
それは、東洋的自然観と現代アートの抽象性を架橋する試みであり、戦後日本美術が追求してきた「見ること/描くこと」の哲学的対話の延長線上に位置づけられる。
⸻
✨ 総評
《花ふふむ(Flower Buds)》は、単なる抽象表現を超え、生命の誕生、宇宙の循環、精神の覚醒といった普遍的テーマを、墨と油彩という異質な素材の融合によって可視化した傑作である。
その渦巻く白と黒の呼吸のなかに、観る者は自らの内なる原初的記憶——まだ言葉になる前の「感覚の芽吹き」——を見出すだろう。
作品は、全て作家の手によるもので、
写真での表現には限界があります
現物をご覧になりたい場合は、ご連絡ください。
K'sギャラリーでご覧いただけます
観覧ご希望の方は別途連絡をください。
-
送料・配送方法について
-
お支払い方法について