多田吉民 「けぶる」
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作家名:多田吉民(Yoshitami Tada)
作品名:けぶる
サイズ: 270mm×270mm
額:
技法:ボールペン
制作年:2025
1968年東京都生まれの多田吉民(Yoshitami Tada)は、ボールペンと銅版画という二つの技法を行き来しながら、点が生成する世界を描く画家である。
多田はこう語る。
「線を引くと制約が確定されてしまう。点故に自由に広げられるから楽しい。」
「何を描こうとは考えず、浮かび上がるものと対話しながら進めていく。」
その言葉通り、彼の画面には「描こうとしたもの」の輪郭はない。
無数の点が空気の粒のように漂い、密度の変化だけで雲の重量・光の屈折・球体の誕生を形づくっていく。
線のような指向性はなく、しかし確実に「現象」が立ち上がってくる。
点描がつくる《白い宇宙》
「白の領域」を大きく残しながら、周縁の点描が物質的な雲塊や光の渦を形成している。
白は余白ではなく、誕生の場・光の核・出来事の中心として機能する。
• 胎動するような球体
• 雲海の裂け目
• 空へと昇っていく光の柱
• 海霧のように漂う渦の流れ
いずれも線ではなく“点の意志”が生んだ形態である。
その姿は、スーラの光学的点描、草間彌生の無限の網、あるいは戦後日本の具体美術が示した「手が先に動き、世界があとから立ち現れる」という原理と緩やかに重なりながら、より静かで、より宇宙的な生成の気配を帯びている。
多田吉民の作品は抽象だが、無機的ではない。
球体は“記憶の核”のように脈動し、雲は時間を抱え、黒の濃淡は深海や空の層のような深さを持つ。
それは作家の意図というより、点から生まれた“現象”を観る者が物語として受け取ることによってはじめて完成する。
今日のアートシーンでは、AI生成や計算モデルを用いた「生成絵画」が注目されているが、多田の作品はその逆、
“身体の生成性によるアナログの生成絵画”
である。
一点一点が人の手によって置かれたにもかかわらず、アルゴリズムが生んだような有機的な流れが立ち上がる点で、彼の作品は現代的な感覚とアナログ手法の両方を内包している。
多田吉民が
「点描」という原始的技法を、宇宙的スケールの抽象へと拡張する稀有な作家であるという事実だ。
白く広がる画面に、黒い点の雲が静かに呼吸し、球体が誕生し、風景が立ち上がる。
それは自然を模倣した絵画ではなく、
“点によって世界が生成する瞬間”
そのものを描いた絵画である。
作品は、全て作家の手によるもので、
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