山﨑康誉「森の力 Ⅱ」

作家名：山﨑康誉
作品名：森の力 Ⅱ
サイズ：Ｈ270mm x Ｗ270mm
（額縁外寸サイズ Ｈ460mm x Ｗ460mm）
技法：油彩
制作年：1995

山崎は紙に油彩で描いている作家です。昨今の作品は自由で伸び伸びしているように感じられます。これは、彼が都立高校の教師を定年で辞めたことが影響しているのかもしれません。作品の中には記号が描かれており、一見欧文の文字のように見えるものもありますが、実際には意味の読み取れる文字ではなく、文字は画家のサインだけです。記号と言っても、実際に意味のあるものは存在しません。それは記号に似た形をしているだけです。彼の作品は田舎ではなく都市としての街を象徴的に描いているように見えるかもしれません。また、近代ではない現代社会を視覚的に抽象化したものかもしれません。山崎の作品は、現実の社会やその形、構造、現象を具体的な図像にすることで表現しているのかもしれません。彼の作品は純粋な造形のためだけではなく、現実の世界からのイメージをもとにしています。作品は激しさや声高さとは無縁で、繊細かつ静謐な印象を受けます。それは画家その人によく似た落ち着いた作品です。

また、山崎はペイントやコラージュなど、さまざまなスタイルの作品も制作しています。彼は非常に緻密でありながらも大胆なアーティストと感じます。彼の作品は人間の根底に届く勢いを持っています。私は彼の不定形な作品を見て、マンデルブロ集合を思い起こしました。そして、それは私たちの想像力やイメージを超える力と可能性を持つ存在だと感じました。彼の作品は心に響くものであり、私たちに一瞬でもその力を感じさせてくれます。